LEDチップが放つ光は、導かなければ四方八方へ拡散します。光学——レンズ・反射・拡散——が、光が最終的にどこへ向かい、どれだけ広く、どれだけ集中して照らすかを決めます。そしてそのすべては、IES光度ファイルと呼ばれる標準フォーマットで正確に記述でき、設計者はコンピューター上で実際の光をシミュレートできます。本記事では、LEDの光学と配光について解説します。
LEDチップが放つ光は、導かなければ四方八方へ拡散します。光学——レンズ・反射・拡散——が、光が最終的にどこへ向かい、どれだけ広く、どれだけ集中して照らすかを決めます。
そしてそのすべては、標準フォーマットで正確に記述でき、設計者はコンピューター上で実際の光をシミュレートできます。本記事では、LEDの光学と配光——装飾照明ではしばしば見落とされながら、見た目の品質を左右する次元——について解説します。
ビーム角:光の広がり具合
ビーム角(beam angle) はLED光の広がり具合を表す、配光の最も中核となるパラメーターです。
- 狭いビーム(例:15°)——集中して遠くまで届き、重点照明や遠距離投射に適します。
- 広いビーム(例:120°)——拡散して広範囲をカバーし、均一な照明や大面積の装飾に適します。
ビーム角はLEDのレンズと光学設計で決まります。装飾やディスプレイ用途では、LED素子の発光視野角(見える角度の範囲)も同様に重要です。これは観客がさまざまな角度から見たときの均一性に影響します。
配光曲線とIES光度ファイル
「光がどこへ向かうか」を正確に記述するには、配光曲線——光源が各方向へ放つ発光強度(カンデラ値)を表すもの——が必要です。
この曲線を担う標準フォーマットが IES LM-63——照明工学会(IES)が定めた標準光度ファイルフォーマット(.iesファイル)です[1]。器具の垂直・水平各角度のカンデラ値に加え、総ルーメン・消費電力・ビーム角・器具寸法などの情報をテキストで記録します。ANSI/IES LM-63-19 が現行版で、今後はXML形式の TM-33 が補完します[1]。
なぜ設計に光度ファイルを使うのか:光を予測可能にする
IES光度ファイルの価値は、照明設計を予測可能にする点にあります。
実器具のIESファイルがあれば、設計者はDIALux・Relux・AGi32といったソフト上で照度分布・均一度・グレアを正確にシミュレートでき——現場での試行錯誤が不要になります。大規模プロジェクトの計画・検収・合意形成にとって、これは欠かせないツールです。IESファイルのない器具は、設計者に「手探りの設計」を強いるのと同じです。
装飾照明の光学:見せるための設計
ここに一つ、重要な違いがあります。一般照明は照度分布と均一度を重視します——空間を快適に照らすこと。一方、アドレサブルな装飾やディスプレイは、LED素子ごとの発光視野角と一貫性をより重視します——観客がどの角度から見ても均一な色と明るさを得られること。
発光角度が狭すぎると横から見たときに暗くなり、色ムラが出ます。広すぎると明るさが分散し、際立ちません。装飾用途の光学は「見せる」ために設計され、「照らす」ためではありません——これが機能照明との光学面での根本的な違いです。
光学もまた、LED素子選定の一環
LED素子の光学特性(発光角度・拡散)は、主にパッケージと筐体設計で決まります。PowerMOSは点制御チップとアドレサブルLED素子を提供し、用途に応じて異なるパッケージや拡散設計と組み合わせられます——高密度ディスプレイには均一な視野角を、輪郭装飾には適度な集中を。ソリューションの全体像は製品センターをご覧ください。
関連記事:ディスプレイ品質の色彩面は『アドレサブルLEDの階調・色彩・フリッカーフリー調光エンジニアリング』、視覚的な快適性は『グレアと視覚的快適性』をご覧ください。
参考規格・文献
- ANSI/IES LM-63-19, Standard File Format for the Electronic Transfer of Photometric Data and Related Information. Illuminating Engineering Society.
- ANSI/IES TM-33, Standard Format for the Electronic Transfer of Luminaire Optical Data. Illuminating Engineering Society — 次世代のXML光学データフォーマット。
本記事は光学エンジニアリングの解説です。引用した規格の名称と番号は、Illuminating Engineering Society(IES)の公式カタログで確認できます。PowerMOSの点制御チップは、LED点制御に最適化した独自のキャリア(電力線搬送)プロトコルを採用しています。LED素子の光学特性はパッケージと筐体設計で決まります。
よくある質問
ビーム角(beam angle)とは何ですか?
ビーム角はLED光の広がり具合を表します。狭いビーム(例:15°)は集中して遠くまで届き、重点照明に適します。広いビーム(例:120°)は拡散して広範囲をカバーし、均一な照明や大面積の装飾に適します。ビーム角はLEDのレンズと光学設計で決まる、配光の中核となるパラメーターです。装飾やディスプレイ用途では、LED素子の視野角(発光角度)も見た目の均一性に影響します。
配光曲線とIES光度ファイルとは何ですか?
配光曲線は、光源が各方向へ放つ発光強度(カンデラ値)を表します。IES LM-63は、照明工学会(IES)が定めた標準光度ファイルフォーマット(.iesファイル)で、器具の垂直・水平各角度のカンデラ値に加え、総ルーメン・消費電力・ビーム角などの情報をテキストで記録します。設計者はこれを用いて、DIALuxやReluxといったソフト上で実器具の照明効果をシミュレートします。
なぜ照明設計にIES光度ファイルを使うのですか?
設計を「予測可能」にするためです。実器具のIESファイルがあれば、設計者はコンピューター上で照度分布・均一度・グレアなどを正確にシミュレートでき、現場での試行錯誤が不要になります。これは大規模プロジェクトの計画・検収・合意形成のいずれにおいても不可欠です。ANSI/IES LM-63-19が現行版で、今後はXML形式のTM-33が補完します。
アドレサブル装飾照明の光学的な考慮点は、一般照明とどう違いますか?
一般照明は照度分布と均一度(空間を快適に照らすこと)を重視します。一方、アドレサブルな装飾やディスプレイは、LED素子ごとの発光視野角と一貫性(観客がさまざまな角度から均一な色と明るさを見られること)をより重視します。発光角度が狭すぎると横から見たときに暗くなり、広すぎると明るさが分散します。装飾用途の光学は「照らす」ためではなく「見せる」ために設計されます。
PowerMOSのLED素子は光学面でどう選定しますか?
LED素子の光学特性(発光角度・拡散)は、主にパッケージと筐体設計で決まります。PowerMOSは点制御チップとアドレサブルLED素子を提供し、用途に応じて異なるパッケージや拡散設計と組み合わせられます。高密度ディスプレイには均一な視野角を、輪郭装飾には適度な集中を。用途ごとの見せ方の要件をお持ちのうえ、LED素子とパッケージのご相談をお寄せください。